2011年12月27日火曜日

2011年

2011年。個人的にも社会的にも大きな転換期でしたし、原点のような気がします。2012年はこの原点から変化していくことが目標です(写真;宮城県岩沼市二の倉海岸)。






いかに生きるべきか

阿部謹也著「大学論」の中で、身体と教養について述べられています。
「12世紀のサン・ヴィクトールのフーゴーは、『いかに生きるべきか』という問いに対して哲学こそその答えを与えるものとし、神学、数学、音楽、天文学、商学、経済学、財政学、家政学、医学、農学、狩猟額、手工業、娯楽、スポーツ、演劇などを挙げている。その中にスポーツが入っていることに注目しなければならない」と述べられています。

『いかに生きるべきか』という問いに対して、スポーツが存在しているということです。体育の世界に身を置くものとして、もう一度、体育、運動、スポーツとは何かを考えさせてくれました。これまで、哲学や社会学的視点からスポーツについて考えたことはあまりありませんでしたが、大学での教養体育、その一方、運動効果を分子生物学的手法を用いて研究する中で、その大きな目標(達成感)については明らかとした答えがありませんでした。
実は、『いかに生きるべきか』という問いに対して求め続けることが共通する目標なのかもしれません。

2011年12月5日月曜日

創発について考える

MITメディアラボ所長の伊藤穣一さんのインタビュー記事「創発する民主主義;現場からの発信で新たな政治を創造,ネットが後押し」を読みました.(朝日新聞,2011年9月3日)

記事の中では,「創発」とは「ボトムアップで思いがけない高度な秩序が生まれること,例えば,大都市でも,トップダウンの都市計画より住民の相互作用から生み出された街並の方がうまくいく」と述べています.さらに,「企業を見ていても,イノベーションとか新しいものはほとんど現場とか端っこから来る.問題を解決るする知恵や情報やアイデアは思わぬところにある.それをうまく集めて,かたちにしていけば,政治家にはできないような結果をだせる.ネットとかソーシャルメディアは,その過程をサポートする強力な道具です」とコメントしています.

スポーツの場面においても,「創発」という視点はともて面白い視点だと思います.スポーツ科学に関する情報についても現場の視点で何が有効かを考えることが,新たな試みを生み出す可能性があります.ITやソーシャルメディアをツールとして用い、草の根的発想からそれぞれの目的に応じた新たなスポーツ支援策や動機づけなどのアプローチを見出すことが出来れば面白いと思います.

2011年11月21日月曜日

Intracrine and Myotrophic Roles of 5a Reductase and Androgens: A Review.

研究を進める上で,最新の研究動向を把握することは大切です.
新しい情報を常に取り入れることは次なる研究や行動をおこす上でもとても役立ちます.
最近,自分の研究分野に関する論文をリサーチする時間がなく,PubMedで検索してみました.

Intracrine and Myotrophic Roles of 5a Reductase and Androgens: A Review.
Yarrow JF, McCoy SC, Borst SE.
Med Sci Sports Exerc. 2011 Oct 8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21988936

骨格筋における性ホルモン産生機構についてここ数年研究してきましたが,
それに関するレビュー誌が発表されていました.いくつか自分の文献も引用されていましたが,世界には同じことを考えている人たちがいることを改めて実感します.レビュー誌は最新のデータと思いがちですが,一方で,次なるターゲットや研究の方向性が見え始めていることも事実です.

所属する先生方のご協力を得て,少しずつですが,測定環境も整えています.研究動向をみつつ新たな視点で研究を進めていきたいと思います.

2011年11月9日水曜日

仕事のマネジメント

以前「成功するための7つの習慣」の本を読み,そのなかのマネジメントスキルを実際にしてみましたが..
4月から職場が変わり,ほとんどが,緊急性がありかつ重要なことをこなしてきた感があります.
本の中で述べられてきた,緊急性はないが重要なこと,にさく時間がないのも実感しています.
なかなか成功するための習慣を習慣化するには時間が必要です.

2011年11月4日金曜日

研究費申請

11月に入り,大学では文化祭.学生のにぎやかな声が聞こえてきます.
その反面,11月は研究費申請のシーズン.研究者にとっては,研究費が採択されるか否かは,今後の研究活動を大きく左右します.

毎年,研究費申請をする中で,研究費が採択されることは大切ですが,実は研究費を書くプロセスがとても自分にとっては勉強になっているのだと感じます.また,多くの先生方に計画書のアドバイスを頂く中でも勉強になることが多々あります.基礎研究からスポーツ現場まで,その申請内容は様々ですが,共通して感じることは”研究の新規性や独創性”または”研究の意義,期待される効果”などです.実は,この研究費申請プロセスの中で,この研究が何の役に立つのかが見えてくることが多いのです.

基礎研究でも,スポーツ現場でも研究することは常に求められますし,毎年多くの研究費申請が行われています.その競争的申請プロセスこそがその分野をさらに深化させるかもしれません.

2011年10月19日水曜日

スポーツのオープン・イノベーション

 専修大学社会体育研究所公開シンポジウム2011 [スポーツレガシーシリーズ VOL. 4]スポーツ科学の可能性とその限界―実践としてのスポーツ科学―が専修大学で行われました。
今回のシンポジウムは、スポーツに関わる者として常に考え続けることの大切さを感じることが出来ました。目標は勝つこと、ただこの一点に拘る中で、スポーツ科学が取り入れられてきたのだと感じました。

 現在のスポーツ界は、昔と比べ大きく環境が変わってるのだと思います。色々な立場の人たちがスポーツに関わることは、スポーツが成熟する過程においてとても大切な要素だと思います。しかし、その一方で、複雑化する組織がその目的を達成するためにマイナスに影響することもあるかもしれません。

Nature 2011年9月15日号に『動き始めた創薬のオープン・イノベーション』の記事が載っていました。
(http://www.natureasia.com/japan/nature/ad-focus/110915.php)

『クローズド・イノベーション』は、自分の会社1社だけで、アイデアを創出し、材料を調達して、研究開発し、その後商品化して市場に出し、上がった利益でまた新製品や新技術を開発するといったサイクルを回す、“自前主義”のことです。一方、『オープン・イノベーション』は、ほかの組織の優秀な人材と協働し、外部の研究開発を利用することであると述べられています。

 さらにコラムの中では、『確かに、オープン・イノベーションでは、ステークホルダー(利害関係者)の役割分担、市場化までのプロセス、開発費の負担、知的財産権(知財)などの調整は複雑になるといった面もあるが、新しいアイデアやリソース、技術を効率よく利用でき、1社が抱える失敗のリスクが軽減されるメリットがある。だが、それ以上に重要なのが、かかわった企業や機関が互いに発展し、“新しい大きな価値”の創造につながる可能性が高いことだ。長引く不況の下、新製品が売れにくく、また商品寿命が短くなっている昨今、オープン・イノベーションはビジネスのキーワードとして注目されている。』と述べられています。

 また、日本のオープン・イノベーションの課題と提案については、下記のように指摘しています。

(1)役割分担の明確化
(2)効率的なマッチング・システム
(3)人材の育成とポジションの安定化
(4)柔軟で確実な知財管理
(5)日本型オープン・イノベーションの確立

 今回のシンポジウムを拝聴して、スポーツにおけるスポーツ科学は、どのような型のイノベーションが起こり、実現していくのか、考えさせられました。今回は、スポーツとちがう分野の創薬の視点から考えてみましたが、本質は同じかもしれません。

2011年10月5日水曜日

日本のプレゼンスを考える

以前のブログで『日本は必要ですか?』という問いを授業で考えてみました。
考えれば考える程難しいことを実感しました。
また、まだ答えは見えてませんが、答えを見つける過程がとても貴重な時間だと感じています。

2011年10月4日火曜日

Activity is the best medicine

 2011年のネイチャー誌に『Prevention: Activity is the best medicine』の記事が載っていました。(Nature475,S16–S17(14 July 2011)).

アメリカスポーツ医学会でもHPの中に『Exercise is medicine』という言葉が記載されています。世界には『運動』が本当に最もよい医学であると信じて研究や活動している人たちがいることを改めて感じます。
 
 大学院ではスポーツ医学研究室で学び、色々な立場の方たちと関わりをもつことができました。また、昔は『運動医学研究室』だったようです。実際のスポーツ現場では、選手、コーチ、トレーナー、ドクター、など色々な立場からスポーツに関わっています。医療資格もない自分は、当然ドクターやトレーナーと違う立場ですが、スポーツ科学(研究)の立場から現場にどう発信し貢献するか考えていかなければならないと思っています。

言葉は時代とともに変わっていきますが、「運動」、「スポーツ」、「身体活動」と医学との関わり方も様々ですが、その言葉の持つ意味は異なり、関わる人たちも違うかもしれません。最近は基礎研究の視点から運動と身体適応メカニズムについて研究していますが、分子レベルから身体活動や運動に関するエビデンスを蓄積することが運動の価値を高めると思っています。

『Activity is the best medicine』は、運動・スポーツを教育研究する立場として大きな目標を示していますし、これからの時代に運動の重要性がより増してくることを予感させてくれます。

2011年8月29日月曜日

日本運動生理学会大会in徳島

8月25日から26日まで第19回日本運動生理学会大会に参加してきました。
徳島は高校3年の時、国体が開催されレスリング競技で参加した思い出の土地でもあります。

運動生理学分野も幅が広く、筋生理、内分泌、呼吸循環器、環境等様々な研究発表がありました。
自分は筋生理のセッションで前後の先生方の発表はとても勉強になりました。
発表の際には、いくつか質問をして頂いて、今後の研究の参考になるご指摘を頂きました。

今回の発表はポスドク時代の仕事で、性ホルモン合成酵素の一つであるsrd5a1という分子に着目して、srd5a1発現ベクターの作製、骨格筋における機能評価をした内容です。発表は8分と短いですが、発表のメインであるsrd5a1発現ベクターの作製にようした期間は1年あまりです。ポスドク最初の一年間はこのベクター作製に費やしていました。作製には何度も失敗しましたが、ベクター作製が完成した時に先生から、おめでとうと言われたことが懐かしく思い出されます。

また、研究奨励賞を頂くことができました。これまでレスリングしかしてこなかった小生に、研究の楽しさや、研究の基礎、研究の奥深さを教えて頂いた先輩や先生方のおかげだと思っています。

学会長の講演では、今でも最新の研究論文をリサーチすることが楽しみであると言っておられました。
スポーツの原点は、楽しいことであり、その大前提は努力することです。
そう考えると、研究も楽しいと思えること(言えること)のその裏には、相当の努力があるのかもしれません。

スポーツを色々な視点から考え、研究思考をさら深化させていきたい。



2011年8月9日火曜日

見えないものが見えてくる

スポーツ基本法が成立し、すべての人々がスポーツをする権利が明記された。
障害のある人を運動指導する分野の一つにリハビリテーション体育というものがあります。
その養成校にて、短期の集中授業で関わらせて頂いていますが、その時した先生との会話です。

視覚障害がある方の運動・スポーツにおいて、その指導法を学ぶために、ブラインドにした状態で運動を経験する授業があるそうです。視覚情報がない状態で運動することの難しさ、あるいは運動を指導する難しさを体感するとのことでした。

話しの中で、このような体験授業は、視点を変えて(ブラインドした状態)運動をするとその運動への捉え方として「見えないものが見えてくる」というのです。

オリンピック、パラリンピックも同じ方向性に向かうと思いますが、スポーツ環境、指導者、スポーツ医科学情報などまだまだ現状では格差は大きいと思います。同じ情報でも視点を変えることで新たな効果をもたらすことがあります。

オリンピズムの中で、スポーツの普及の視点からオリンピックの価値は、「100名の者がその肉体を鍛えるには,50名がスポーツをする必要がある.50名がスポーツをするには,20名が専門家する必要がある.20名が専門化するには,5名が優れた技能の持ち主であることが必要である」

先日の女子サッサーのワールドカップ優勝後、女性スポーツの報道や女性スポーツの環境整備に予算が追加されたとの報道がありました。すなわち、トップスポーツの活躍は色々な意味で大きな影響をもつということです。

スポーツ医科学情報も別な視点からアプローチすることで、新しいサポートの型が見えてくるかもしれません。








2011年8月6日土曜日

日本は必要ですか?

先日、恩師と会う機会があり、東京オリンピック招致について話しました。
以前のブログで、大学生に対して、2020年東京オリンピック招致についてどう思うかと質問し、
賛成3割、反対7割であると報告しました。

そんな話しをした中で、今度、「日本は必要ですか?」って聞いてみたら。???
こう言われた時、久々にパラダイムシフトが起こりました。先生はいつも自分の視点を変えてくれる存在です。

これまで、オリンピック招致と東京との視点で自分は考えていましたが、今はうまく表現することは出来ませんが、世界にとって「日本」って何だろう?日本のプレゼンスは何で表現できるのか?オリンピックは日本の存在や価値を示すことができるチャンス?これは、ただ単にスポーツの大会を招致することだけではないのかも知れません。

授業では「スポーツ文化論」を担当しています。
授業を通して、日本にとってスポーツはどんな意味・価値があるのだろうか?スポーツ文化は成熟しているのか?難しい課題ですが、おそらくこれからの東京招致活動をみると色々なメッセージが入っているのだろうと思います。

色々な視点を吸収しなければならない。

2011年7月22日金曜日

スポーツ科学サポートを考える

今日は、NTCセミナーに参加してきました。
 
発表者の方それぞれの立場からメッセージは、サポートのあり方について色々なことを考えることが出来ました。
レスリングに関わっている者として、久木留先生のメッセージをいかに行動として現場に返せるか、これからの自分にとっての課題だと思います。

2009年9月に、一人でイギリススポーツ科学会議(BASES)に参加したことがあります。
ポスドク時代でしたので、イギリスのスポーツサイエンスを触れるために行きました。
日本人の参加者もほとんどいませんでしたが、2012年に行われるロンドンオリンピックの医科学サポートのシンポジウムがありました。

シンポジウムの中で、EISのサポートスタッフが、スポーツ医科学サポートで大切なことは、『Question leads support』がであるとコメントしていました。また、現場では、Technical Supportとの他にNon technical supportの視点も重要だと。

今日のセミナーの中でも現場での課題発見やサポートのあり方など同じ様な視点でしたし、常に何が課題なのか考えることがサポートに関わる上で大切なことかもしれません。

研究の世界では、研究者とテクニシャンは仕事の立ち位置が異なり、それぞれがその役割を果たして研究が行われます。
研究者とは知的労働者の面が強いかもしれませんが、これは研究(実験)の中で養われ、一人前の研究者として進むために求められています。さらに、分野関係なく、社会やスポーツ現場へその知見を還元するためには、行動力(Non-technical support)がなければならないのだと強く感じました。

また、科学サポートの意義は?との質問に『Conversion』というシンプルな答えでした。
この答えはとても新鮮で、変化させること、の視点から医科学サポートって何か、今日のセミナーも含めて、改めて考えさせられました。

2011年7月16日土曜日

教育と研究

今日は日本体力医学会関東地方会で発表です。

今年は授業の関係からなかなか発表できませんが、色々とディスカッションできればと思い発表登録しました。4月から環境が変わりほぼ授業資料の準備に時間を費やしてきました。また、担当科目は、スポーツ文化論、生涯スポーツ論、青少年スポーツ論と色々な視点からスポーツに関して考えてきました。

ようやく今月で前期授業も終わりますが、振り返ってみると昨年までの研究員生活とはまたちがった意味で、スポーツや運動を大きく捉えることができたのかなと思います。

少し時間が出来たので、丹羽宇一朗著の『負けてたまるか!若者のための仕事論」を読み返し、先ずは今ある環境を大切にし、教育・研究に対して前向きな姿勢で進んで行こうと改めて思いました。

どんな学会でも、発表する際には、抄録を書いて、スライドを準備し、予行演習し、発表に望みます。
授業とは違い、研究データを純粋に議論する場、改めて大切な場だと思う。

2011年7月4日月曜日

子どもの体力低下を整理する

『子どもの体力低下』に関する新聞記事からキーワードを整理する授業をしました。
新聞記事からのキーワードには、色々な視点があります。
また、立ち位置からもその課題に対する捉え方も違うのでしょう。
スポーツを専門とする立場からは、運動の効果や意義を発信しなければなりませんが、
とくに子どもの運動への関心を高めるには違う視点からのアプローチが必要なのかもしれません(それが何かわ分かりませんが。。)

2011年6月27日月曜日

専門化と統合化

6月ももうすぐ終わり。
蒸し暑い日が続く中で、授業中もこの蒸し暑さの中で進んでいく。

生理学の視点から、この節電対策について考えてみました。
この震災はこれまでの生活感や文化など大きくその価値観をかえたのかもしれません(パラダイムシフト)。

これまでの夏は、エアコンですぐ対処できましたが、今年の夏はそういう状況にはならないと思います。
ヒトは環境に適応して生きています。そう考えれば、暑さ対策も今の時期から『暑さに慣れるトレーニング』が必要だと、授業で言いました。今からその意識があれば、夏には暑さに対して適応できるからだになっているだろうと思います。

熱中症や年齢、性差、体調など考慮することはもちろん大切ですが、暑さに『順化』することが究極の暑さ対策かもしれません。


 電車の中で、ふと思いついたので備忘録的に書きとめます。
スポーツ世界含め、どの分野も専門性が細分化されてきました。医学の世界でも基礎から臨床に至るまで、
その研究分野が高度化するにつれて専門化していると思います。
 このことは、研究の宿命というか、新たな分野を切り開くために必然の流れなのでしょう。
その一方、『融合』、『統合』など、その細分化された分野を連携させていく考え方もみられます。
東大前総長の小宮山先生の講演を聞いたとき、『爆発する情報』と言っていたのを思い出しました。さらに、
その情報を『知の統合化』という視点からまとめ、実社会に活かす方策を提言されていました。

 自分の立ち位置でできることを考えていきたい。

2011年6月21日火曜日

スポーツの関心を高めるには?

50年ぶりに改正されたスポーツ基本法の成立。スポーツ基本法の成立にむけて実際に関わった方の熱意に感謝したい。
また、新たな動きがあり、東京五輪招致の再表明がなされました。これから基本法の成立した意味が色々な場面でみられるんだなと思います。

大学の講義では、スポーツ文化論を担当しています。
そこで、東京五輪招致の関心度について学生に聞いてみました。

Q:東京五輪の招致活動再表明に賛成ですか?
A:賛成3割、反対7割

でした。

このブログでは、あえて賛成反対の是非は述べませんが、スポーツに関わる立場としては危機感を感じました。
さらに、授業の中で得られた現状のSWOT分析です。

・Strength :
 交通機関が良い、ビックイベントをした経験がある、経済が豊、観光地がある、施設がある、技術があ
・Weakness :
 市民の関心が無い、、施設が古い、借金がある、人口が集中している、交通渋滞、
・Opportunity:
 世界に日本をアピールできる、交流、観光・ツーリズム、財政保証、雇用、経済の活性化、
・Threat :
 震災、停電、原発、渋滞、税の負担、失業


 前回の招致活動でも問題になっていた市民のスポーツへの関心の低さ。現状はあまり変わっていないのかなと感じています。河野先生の最終講義でオリンピックの価値でこれまでは「国威発揚」であったが、これからのオリンピックは違う視点が必要ではないかと講演されたことを思い出しました。授業を通してですが、その感覚が何となく分かってきました。

 人のスポーツへの関心(動機)についてもう少し考えてみたいと思います。

島岡先生のブログからの引用で、モチベーションの心理学に関する紹介がありました。
ダニエル・ピンク「Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us 」です。

以下、引用です。

「Drive」の肝は、モチベーションには3つの段階があるということです。

―モチベーション1.0(basic operating system):
衣食住を満たすための生物としての基本的欲求に対する動機付け

―モチベーション2.0(the carrot and the stick / reward and punishment):
ボーナスまたは罰金による金銭的動機付け

―モチベーション3.0(Internal motivation / mastery):
人間的成長、知的興奮、社会への貢献などより高い次元での意味付けを持たすことによる動機付け

 このなかで、スポーツへの動機づけのアプローチも今までは、モチベーション2.0の視点が強かったのかもしれません。
招致活動=税金の感覚が強くあり(その視点ももちろん大切な部分ですが)、モチベーション3.0の人間成長や知的興奮、社会への貢献などの高度な意味づけを持たせることが、スポーツへの関心を高めるひとつのアプローチだと思います。
 
 日本はモチベーション1.0は満たされていて、おそらくスポーツもこの段階ではないのでしょう。
 研究もその動機は、知的好奇心の探求です。

人のスポーツへの関心を高めるための方策を探っていきたい。
 

2011年6月14日火曜日

So what, Why so

先週、スポーツ基本法が国会に提出され、審議されている状況です。大学の授業でこのことについて触れましたが、
その背景や意義について考え、さらに今後の方向性について専門分野関係なく一人一人の目線で考えることの重要性を改めて感じました。

スポーツ権も含め、体育スポーツに関わる者として自分の中で整理することが必要なのかなと感じています。

So what(要するに)、 Why so(なぜ、そう言えるのか)は、ロジカル・シンキングの手法の一つです。
感覚ですが、おそらくあまり国民の関心がない雰囲気の中で、このスポーツ基本法が成立して行くのかなと感じてします。
(とくに授業を通して感じるのですが。。)

その理由や背景を少し考えてみたのですが、
So what/why soの視点からこの法案について考えることが大事なのかなと思います。

”要するに”スポーツ基本法が成立して何が言えるのか?大事なことは何だろうか?
”なぜ、スポーツ基本法が必要なのか”

まだ自分も勉強不足ですが、この時期だからこそスポーツ目線で考えて行かなければならないと思っています。

2011年6月8日水曜日

スポーツを楽しむ環境ーマインドマップ

『スポーツを楽しむ環境』をテーマにマインドマップを用いて授業を行いました。
人にとって運動は必要なのか?運動不足の原因/背景は何なのか?
体育人として『運動の必要性』を伝え、理解してもらうことが大事だと思いますが、なかなか教えることは大変だと実感する日々です。。

2011年6月7日火曜日

スポーツ目線

 大学院時代の恩師に『スポーツ目線』を忘れないようにと声をかけて頂きました。
確かに個々最近は基礎研究に没頭して、少し距離感があったかもしれません。
大学の講義では、生涯スポーツ論、スポーツ文化論など、これまでにない視点から講義をする中で、
色々なキーワードがあることを改めて実感しました。

 自分にとっての現場はどこか?
 スポーツに貢献できる場はどこにあるのか?
 学会で発表することが目的か?

前回、福沢諭吉の『学問のすすめ』を読んだ中で、実学の必要性を改めて感じましたが、
科学/サイエンスをスポーツ現場に実学として何かの型に出来ればその答えがみえるかもしれません。
スポーツ現場で指導している先生方からは勝負感と真剣さを肌で感じることができます。

スポーツ目線、現場にいない自分がその情報をどう汲み取って、型にするか、考えていきたい。
 

2011年5月31日火曜日

学問

 新学期が始まり2ヶ月が過ぎました。
たった2ヶ月ですが、色々な物事が進んでいる。
3.11日震災は、人々の価値観やそれに対する社会、大学、個人等の取り組み・関わり方など
大きく変えているのかもしれません。

今、自分が大学の教壇に立って、何ができるのか。
ここ数年、実験室で朝から晩まで実験に明け暮れていたことは何の意味があったのか。

最近、福沢諭吉の「学問のすすめ」現代語訳を読みました。
実は、初めてこの本を読みましたが、心打たれる内容で、学問について再考することができました。

情報化社会、専門化する社会、研究の中で、これからは物事を判断する力がとくに必要になるかもしれません。

 著書の中で、

「信じる、疑うということについては、取捨選択のための判断力が必要なのだ。学問というのは、
 この判断力を確立するためにあるのではないだろうか」

この本は、実学としての学問、そして自分がやらなければいけないことを多く示してくれています。
ポスドク時代の3年間、失敗だらけの時間もありましたが、実験の考え方、進め方、実験方法など、
多くのことを体得したことが実学の意味なのかもしれません。

 

2011年5月11日水曜日

心に火をつける

 大学ので講義もようやく2週目となった。
これまで学会発表などで研究のプレゼンはこなしてきたが、学生を相手にした「授業」は全く別物でした。
同じ授業を3コマ続けて行う講義にでも、その場のクラスの雰囲気やモチベーションにより全然違ってきます。
 あらためて授業の奥深さを実感させられますし、やはり学び続けなければ教えることは出来ないと感じています。

 教育に関する本を何冊か読んできましたが、昔読んだ、西澤潤一先生の「私の独創教育論」を読み返してみました。
研究者としての心がまえだけではなく、教育者としての考え方がともて心に打たれる内容でした。

 「教育とは心に火をつけることである」

 学生の知的好奇心の扉を開くためには、先ずは自分が探究心をもっていなければならいと。
授業を通して教育について考えることができた日であった。

2011年4月16日土曜日

スタート

4月1日から専修大学にて勤務することになりました。

これまでの研究生活と違って、大学教員の忙しさに触れた1週間でした。
これからは、教育と研究の両面のバランスをどうとるかが課題です。
これまでポスドク生活をしてきて、いくつか公募面接に望んだ際に、いつも研究業績はあるけど教育はできるのか?とよく聞かれた覚えがあります。

自分の中ではいつもこの質問に違和感を感じていました。

常に研究心がなければ教育は出来ないのではないのか?
これまで見てきた研究者の先生方は教育者としても立派な方が多くいました。
過去の経験だけにとらわれず前に進む姿勢(探究心)をもっていたい。

良い教育をするためには、今まで以上に研究心を高めて行かなければと今は感じています。
また、自分の所属する学科はスポーツは違う色々な専門の先生方がいて、自分の幅を広げる機会にしたいと思う。

2011年3月31日木曜日

生涯ポスドク精神

 今日で、日本学術振興会特別研究員PDとしてのポスドク生活を終えます.
この3年間は研究に対する考え方やその持つ意味など考えることが出来た貴重な期間でした.
研究員として快く迎え入れたくださった先生,スタッフ,そして実験室でともに時を過ごした学生のみなさんに感謝の言葉で一杯です.一番,身になったことは,業績云々ではなく,理論的思考を持って物事を進めていくこと,そして,その事実や現象に対して思考し,次の物事へ繋げることを学びました.おそらく,自分にとってのポスドク期間は,研究や実験を通して,研究者としての考え方を学んだ期間だったのかなと思います.

・データに一喜一憂し,毎日試行錯誤しながら実験する日々はとても楽しい時間でした.
・まだまだ勉強しなければならなことを感じました.
・良い結果を求めることは大切ですが,「良い研究」をすることの重要性を感じました.
・良い結果を求めることは大切ですが,結果はどうであれ,きちんと「分かれば良い」ことの研究の
 本質を学びました.
・条件検討の重要性を学びました.
・初めて実験がうまくいかなくて涙が出た時がありました.
・初めてのベクター作製に1年費やしました.
・セミナーで先生方のコメントは次の実験を進めるための視点がありました.

これから成長するためには「生涯ポスドクの精神」で物事に取り組んでいくことが大切だと思う.
そして、一歩一歩自分らしく進んで行こう.

明日からまたスタート.
この3年間を活かす今後にしたい.